頭上とうじょうをかすめゆく雲 夜だから ひとつのこらず暗雲だろう

靴下を、服をズボンをなげすてて泣いてるような十月の部屋

水底をさかなは眠る十月のこんな季節の出立ちじゃない

持てあますほどの温度を授けつつ花瓶に蝋の花ひとつ挿す

錠とざすたびできあがるまひるまの密室としてああお手洗い